世界遺産登録と環境問題

2013年6月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)により富士山は世界文化遺産として登録されました。
文化遺産といえば、登録基準に照らして「顕著な普遍的価値」を有することを世界遺産で認められる必要がありますが、富士山のどのようなところが「顕著な普遍的価値」として認められたのでしょうか？

富士山は古くより絵画や文学などの舞台として扱われ、多くの芸術作品を生み出してきました。その例として葛飾北斎の「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」や、日本最古の歌集「万葉集」などが挙げられます。
また富士山は絵画や文学の舞台としてだけではなく、神が宿る山として畏れられ信仰の対象としても日本人に影響を与えてきました。
以上のような理由から世界文化遺産として登録された富士山ですが、当初は「世界自然遺産」としての登録を目指していました。しかし年間30万人以上の登山者が登る富士山は、ゴミの不法投棄などによる環境悪化の問題や、し尿処理問題などを抱えている為、自然遺産の候補地にすら入ることができなかったのです。現在は行政や事業者が環境保全に取り組んでいますが、富士山を登っているとまだまだゴミのポイ捨てが目に入ります。
一人一人が積極的にマナーを守り、富士山の自然、美しい景観、文化を未来に継承していきたいものです。